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【講談社文芸文庫「金色の死」】谷崎潤一郎の短編集を読み終わったので感想を書く

去年の終わりか今年の初めごろからちょこちょこ読んでいた講談社文芸文庫版の「金色の死」。
谷崎潤一郎の短編がいくつか入っているこの作品であるが、長い時間かけて(3ヶ月くらい?)ようやく読み終わった。

短編集などは長編を読む気が起きない時に軽く読めるので、その時だけ読む。そしてこの短編集以外にもちくまの「古典落語」や芥川全集などの短編集を並行して読んでいるため、短編集を読み終わるのはなかなかに時間がかかる。

特に最近だとちくまのナボコフの短編集やヘミングウェイの短編集も安く手に入れたので、ますます読む短編集が増えるという現象が発生している。

まぁそれは本題と関係ないので置いておくが、とにかく時間がかかってしまうので、一通り読み終わった後にそれぞれの小説の振り返り書いておけば、それぞれの話の印象をより記憶に残せるのではないかと思うので、作品ごとに振り返り感想を書いていきたいと思う。

 

金色の死

この短編集の最初に収録されているのが金色の死という作品である。この作品は三島由紀夫が批評していることで有名らしい(三島由紀夫の「作家論」にその批評があるらしい)。

三島はこの作品を他の有名作である「細雪」や「痴人の愛」などよりもページ数をかけ批評しているらしく相当思い入れを持っていることがうかがえる。この短編集の巻末解説にそんな感じのことが書いてある。

内容としてはドイツの美術評論家であるレッシングが書いた古代ギリシャのラオコオンという彫像などを批評した「ラオコオン」という本の美術論を背景として2人の芸術家志望の男たちがそれぞれの考えで芸術家をやっていくという話である。

こう書くとお堅い感じがするが物語自体は2人の芸術家がライバル的な感じで切磋琢磨する感じの話なので読んでて普通に面白い。

谷崎作品でよくある耽美的な(要はえっちな)要素はあまりなかったと記憶しているが、BL的な話として読めなくはないのかもしれない。

個人的にはここからレッシングの「ラオコオン」に興味を持ち、「ラオコオン」から古代ギリシャの著作に興味を持ったので「金色の死」自体も相当印象に残っている作品である。

 

人面疽(じんめんそ)

正直あまり覚えていないが自分の読書メモによると、「漫画みたいな設定で完全に寄生獣じゃん!」と書いてある。

ホラー的な話だったことを記憶しているがあまり印象に残っていない。

確か劇中劇みたいな構造で、映画のフィルムを1人で見ていると何か不幸が起こるとかいう内容だった気がする。

そしてその映画の内容が寄生獣的な感じなのでメモにもそう書いてあるのだと思う。

 

小さな王国

この話は谷崎の短編の中でも一番好きかもしれない(金色の死かこの作品が一番)。

主人公は子供がたくさんいる小学校の先生で、その先生が務めている学校に沼倉という生徒が転校してくる。

その沼倉という生徒が人たらしの天才で、見た目はパッとしないが転校して間もなくクラスの人間を支配していくようになっていく。

そういった生徒に対してどう接していくかという感じの話。話の展開もすごいがオチが強烈で見どころだと思う。詳しく話すとネタバレになるので書かないが、谷崎の作品が苦手ない人でも読めると思うので読んだことない人には非常にオススメ

 

 

母を恋うる記

正直この作品はよくわからなかった。

谷崎潤一郎の夢をそのまま描いた感じなのだろうか?

読みづらい印象しか残っていないが、何かしら意味がありそうなのでそのうち読み返すかもしれない。

 

富美子の足

ある老人の依頼を受け成り行きでその老人の妾である17歳の富美子の絵を描かされることになる美術学生。

描かされるポーズは脚フェチにはたまらないポーズらしく、ともに脚フェチである老人と学生は徐々にそれぞれのフェティシズムを共有することになっていく。

最終的に老人は富美子の足に踏まれながら、幸福な気持ちで人生終えることになる。

数ページにわたって富美子の足の造形のすばらしさが語られるわけであるが、個人的には少し冗長だと感じた。

ただ絵画の批評としては参考になる文章な気もする。絵画といっても西洋絵画のようなものではなく現代の萌えエロ絵みたいな感じの批評のこと。

谷崎が現代に生きていたら2次元萌え絵師、エロ漫画家などが描く女性の足を文章で的確に批評していたのかもしれない。ブログとかツイッターで。

 

途上

これは探偵小説のような感じで、ある法学者の先生が妻を間接的に殺したということを探偵に問い詰められるという話になっている。

面白くはあったが普通の探偵小説なので特に語ることはない。

 

青い花

よくわからなかったのでそのうちもう一回読むつもり。

まだあまり咀嚼できてないがこれもなかなかすごいこと書いてある。

 

まとめ

以上が感想になる。

正直第三者が見て意味のあるものではない気がするので完全に個人的なまとめになってしまったと思うが、もし見て頂けている方がいるのであれば、私の文章の巧拙に関わらず谷崎の作品を手に取ってみることをおすすめする。

谷崎の文章に接していて思うのは、これだけ性表現がありふれている現代から見ても、谷崎の性的な描写は非常に新鮮に映るということだ。

ノーベル文学賞を取っていない(確かノミネートはされていたとは思うが)ので、川端康成と比べると読んでいる人も少ないのではないかと思う。

前にツイッターに書いた気がするが個人的には川端よりも谷崎のほうが好きである。その理由は川端はどうにも気持ち悪く見えるが、谷崎は驚愕する変態性を見せてくるからである。

谷崎の小説は新潮文庫に大量にあるので、そこから入ってみるといいのではないだろうか?個人的なオススメは痴人の愛と春琴抄。

以上。