【書評】中公新書「日露戦争史」の感想

明治や大正などの古典文学を読んでいくと時代背景を知っておかないと理解できない部分があると思います。

例としては現代を理解するのであればネットがどういったものかある程度理解していないといけないですし、現代日本の作品の場合震災などに大きな歴史的文脈を知っておかないとわからない作品などがあるのです。

今回はそういった明治・大正期の歴史知識を補完していくために「日露戦争史」という本を読んでみたのでその感想を書いていきたいと思います。

 

「日露戦争史」の内容と感想

この本の内容としては戦争の動機や当時の外交的な立場、さらには日露戦争時の戦術についてなど様々なことが広く書かれています。

ロシアの南下政策のためのシベリア鉄道の建設など、鉄道での輸送能力が戦争に深くかかわっていくというのは非常に興味深かったです。

他にも地図の重要性に対しての言及が面白いと思います。

日露戦争の舞台である清の地図をロシア側は結構詳細に作成していて日本の地図はそこまで細かくなかったそうです。

しかしロシア側の将校を倒した際にたまたま地図を手に入れることができたらしく、その地図を書き写してそれぞれの隊に配りました。そのロシアの地図をもとに戦争を戦ったみたいですね。

私としては地図の詳細さが戦争でそこまで重要だとは知らなかったので非常に興味惹かれました。実際にどう用いるか個別具体的なことは書かれていなかったのでここをもっと掘り下げて調べてみると面白いのかもしれません。

あとあまり意識していなかったのですが、日本はロシアと戦争する上で結構立地が良いということもわかりました。

当時の場合、日本を侵略するには必ず海戦が必要なので、艦隊を使う必要があります。

ロシアと日本が戦争をする場合隣国なので船で移動する場合も近いように思われますが、実際は違うのです。

私はロシアは地図でいうと上のほうにあるしバルチック艦隊は何となく北のほうから来たのかと思っていたのですが、その場合北極海を経由しなければなりません。

北極海の経路が横断可能になるのは日露戦争以後ですので、戦争時はわざわざ西から大回りして日本海までたどり着いたようです。

具体的な航路としてはスエズ運河を通っていく艦隊とアフリカ大陸の南を経由していく艦隊の2手に分かれていたようです。

前代未聞の長すぎる航海でさらには日英同盟を締結しているイギリスの制海権を渡っていかないといけなかったため、手に入る石炭も悪質なものばかりで、大艦隊といえども日本海へたどり着くころには結構疲弊していたらしいです。

このように日本は地形的な面で優遇されているため引き分けに持ち込めたのだと思います。

このように見てみると日露戦争は結構地形的な運の要素が大きかったのかもしれません。

実際に日本の要塞戦術が幼稚であったことなども本書では書かれています。しかしそれ以上にロシアの油断が大きく、立地条件の良さがたまたま絡み合い引き分けに持ち込めたのではないかという印象を受けました。

本書では他にも外交面のことなど書いてありますが戦術面に関しては以上のような内容が主となっています。

興味がある人は読んでみることをおすすめします。

 

「日露戦争史」を読んで調べたいと思ったこと

日露戦争を知るならまずは日清戦争を知っておいたほうが良いということがわかりました。

まぁ歴史なので前後の歴史的内容を知っておくことが重要なのは常識だとは思いますが・・・本を買ったときは安かったので何となく買いましたね。

ブックオフに行くと何冊も買ってしまうのはよくあることなので仕方ないですね。

もちろん本書を単体で読んでも様々なことを知れるので良いと思いますが、当時の満州や朝鮮の支配がどうなっていたかなどはあまり書かれておらず、日清戦争関連から読んだほうが理解しやすかったのかなと思いました。

このあたりは歴史的教養があれば問題ないのでしょうけど、高校のころに学習した内容をほぼ忘れている私のような不勉強な人間はもっと前の歴史からやり直したほうがいいと思います(まぁさかのぼりすぎてもキリはないですが・・・)。

あと上記にも書きましたが、シベリア鉄道の建設の歴史などについては戦争とも結構関連しているようなので興味がわきました。

私はロシアに行ったことがないどころか、外国旅行の経験もないのでシベリア鉄道にももちろん乗ったことがないのですが、歴史探訪的な旅をいつかはしてみたいものです。

他にもアフリカの植民地戦争や義和団事件、日英同盟などについてももう少し深堀してみたいと思いましたが、書きすぎると分量が多くなりすぎるので割愛させていただきます。

 

まとめ

久しぶりに小説と哲学書以外の本を読んだ気がします。

小説はまだ娯楽として面白く読めるのですが哲学書に関しては抽象的な事柄を扱っているので面白いは面白いのですが、冗長な部分もあり億劫になるときがあります。

そういう意味では本書のような個別具体的な知識が学べる本は知的好奇心がくすぐられ、さらには他の知識と結びつくのでまた違った意味で面白さがあります。

哲学は瞬間最大風速的な面白さがありますが、こういった知識を得る読書は平均的な面白さがあるというような感じです。

あまり分野を広げすぎると収拾がつかなくなるというのもありますが、たまには別分野の読書も一興ですね。

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